第58章

その時、医者が絆創膏を持って戻ってきた。「はい、これを貼っておきなさい。この傷は少し深いから、完全に治るにはかなり時間がかかるわ。絶対に水に濡らさないように」

九条遥は頷いて、「はい」と小さく返事した。

医者は二ノ宮涼介に注意を促した。「彼女がお風呂に入る時は、防水テープで保護してあげてください。でも、できればしばらくは体を拭く程度にしておいた方がいいですよ」

「先生、彼は私の彼氏じゃ......」

「彼氏」という言葉が口から完全に出る前に、二ノ宮涼介はすでに背を向けて立ち去っていた。

九条遥は服を着直すと、彼の後を追った。

黙って彼の後ろをついて歩く。

「病院にも来たし、私、...

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